J1第36節 柏-名古屋
11/8 三協フロンテア柏スタジアム
柏 1-0 名古屋
大河ドラマ『赤鯱燃ゆ』
~鹿國動乱の陣~
※画像はAIによる生成です。
戦乱の時代も終盤となり、尾張の雄・名古屋赤鯱軍は、いまだ日ノ本蹴球組合一部の残留これ定まらず。
間近に迫るは、東国に覇を唱える強豪、柏太陽族。
赤鯱軍の兵らは武具を手にしながらも、どこか覚悟を決めきれぬ様子であった。

時はその数刻前に遡る。
霧深い山奥に佇む霊験あらたかな寺、他力本願寺。
そこに巫女の小鯱(おしゃち)が、懐中魔法板を片手に鈴をジャラジャラ鳴らしながら駆け込んで来た。
「和尚様ぁぁ! 横浜蹴球倶楽部が負ければ、赤鯱軍の残留が決まるんですよ!どうします!? どうすればいいんです!?」
奥から全身鎧のごとき筋肉をまとう豪僧、鯱力院が現れ太い腕を組む。
「なに、簡単なことじゃ。横浜蹴球倶楽部を倒せばよい」
「……それ、我らが出陣するという意味ですか?」
「いや、鹿に戦ってもらうのじゃ」
二人は一路、鹿が支配する国、鹿の国へと旅立った。

深い深い森を抜けると、神社の境内に無数の鹿が群れをなしていた。
鯱力院が取り出したのは、鹿せんべいならぬ南知多名物・えびせんべい。
「和尚様、これを食べれば、鹿が横浜と戦ってくれるのですか?」
鯱力院はうなずき、誇らしげに言う。
「そなた知らぬか。南知多のえびせんは、万物を強化する霊薬じゃ」
「和尚様、それって……つまり……ドーピングでは?」
小鯱の問いに鯱力院はキッパリと言い切る。
「何を言う、えびの栄養じゃ。えびはヘルシーで栄養価の高い優れたタンパク源じゃぞ」

鹿たちはえびせんの風味豊かな香りに誘われ、バリボリッ……バキボキッ……!
次々と食らい、突如として筋肉が隆起しはじめる。
「メェ……メェェェェ!!!」(※鹿だが気合いでこう聞こえる)
たちまち鹿は巨大化。
筋肉は爆ぜ、眼光は赤熱し、角は雷光をまとい、 鹿魔獣・鹿天王(ロクテンノウ) と化した。

その頃、横浜蹴球倶楽部は穏やかに戦支度を整えていた。
だが突如として森が揺れ、地が鳴動し、鹿の軍勢が突撃してきた。
「な、なんだこのバケモノはぁぁ!!」
鹿天王は雄叫びを上げ、横浜蹴球倶楽部の兵らを天高く吹き飛ばしていく。
ドガァァァン!ズガァァァ!!!
そして、横浜蹴球倶楽部はあえなく敗走。
その結果、名古屋赤鯱軍の日ノ本蹴球組合一部の残留が確定した。
「やりました和尚様ぁぁ!!」
「ふぉっふぉっふぉ、他力の極みじゃな」

一方そのころ柏の戦場では・・・。
煌々と照る月光の下、太陽族の軍勢はまるで天照の使者。
名古屋赤鯱軍の武者たちは斬られ、倒され、吹き飛ばされ――死屍累々。
その時、赤鯱軍の残留確定を知らせる他力本願寺からの鐘の音が響く。
ゴォォォォォン・・・。
赤鯱軍の武者が呟く。
「お、おかしい・・・負けているのに・・・なぜか・・・残留は確定している・・・」
別の武者が答えた。
「噂によれば・・・他力本願寺が・・・鹿を・・・」
「鹿・・・?」
「鹿じゃ・・・!」
全員「鹿の世話にだけはなりたくなかった!!」

鹿たちは役目を終え、元の穏やかな姿へ戻っていった。
小鯱はそっと鹿の頭を撫でた。
「かわいい、けれど強くて怖かったですね」
「うむ。小鯱よ、戦とは元より清きものではない。人も獣も、皆、何かを犠牲にして勝敗を得る。これは、その一端にすぎぬ」
こうして名古屋赤鯱軍は、他力本願寺の暗躍により命脈をつないだ。
後の史書にはこう刻まれる。
『赤鯱軍、裏に流れし影の力にて命脈を保つ。されど戦場にては敗れ伏し、天運は時に戦の理(ことわり)を越えて揺らぐものなり』
鹿の国で何が起こったのか、その真相を知る者は少ない。
ただ、森の奥で静かに草を食む鹿たちだけが、あの夜の秘密を静かに胸に秘めていた。
《つづく》
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J1残留を決めたとは言え、首脳陣の交代やらなんやら、まだまだドラマは終わりそうにありません。










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