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2025年11月

2025.11.09

J1第36節 柏-名古屋

11/8 三協フロンテア柏スタジアム
柏 1-0 名古屋

大河ドラマ『赤鯱燃ゆ』
~鹿國動乱の陣~
※画像はAIによる生成です。

戦乱の時代も終盤となり、尾張の雄・名古屋赤鯱軍は、いまだ日ノ本蹴球組合一部の残留これ定まらず。
間近に迫るは、東国に覇を唱える強豪、柏太陽族。
赤鯱軍の兵らは武具を手にしながらも、どこか覚悟を決めきれぬ様子であった。

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時はその数刻前に遡る。
霧深い山奥に佇む霊験あらたかな寺、他力本願寺。
そこに巫女の小鯱(おしゃち)が、懐中魔法板を片手に鈴をジャラジャラ鳴らしながら駆け込んで来た。
「和尚様ぁぁ! 横浜蹴球倶楽部が負ければ、赤鯱軍の残留が決まるんですよ!どうします!? どうすればいいんです!?」
奥から全身鎧のごとき筋肉をまとう豪僧、鯱力院が現れ太い腕を組む。
「なに、簡単なことじゃ。横浜蹴球倶楽部を倒せばよい」
「……それ、我らが出陣するという意味ですか?」
「いや、鹿に戦ってもらうのじゃ」
二人は一路、鹿が支配する国、鹿の国へと旅立った。

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深い深い森を抜けると、神社の境内に無数の鹿が群れをなしていた。
鯱力院が取り出したのは、鹿せんべいならぬ南知多名物・えびせんべい。
「和尚様、これを食べれば、鹿が横浜と戦ってくれるのですか?」
鯱力院はうなずき、誇らしげに言う。
「そなた知らぬか。南知多のえびせんは、万物を強化する霊薬じゃ」
「和尚様、それって……つまり……ドーピングでは?」
小鯱の問いに鯱力院はキッパリと言い切る。
「何を言う、えびの栄養じゃ。えびはヘルシーで栄養価の高い優れたタンパク源じゃぞ」

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鹿たちはえびせんの風味豊かな香りに誘われ、バリボリッ……バキボキッ……!
次々と食らい、突如として筋肉が隆起しはじめる。
「メェ……メェェェェ!!!」(※鹿だが気合いでこう聞こえる)
たちまち鹿は巨大化。
筋肉は爆ぜ、眼光は赤熱し、角は雷光をまとい、 鹿魔獣・鹿天王(ロクテンノウ) と化した。

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その頃、横浜蹴球倶楽部は穏やかに戦支度を整えていた。
だが突如として森が揺れ、地が鳴動し、鹿の軍勢が突撃してきた。
「な、なんだこのバケモノはぁぁ!!」
鹿天王は雄叫びを上げ、横浜蹴球倶楽部の兵らを天高く吹き飛ばしていく。
ドガァァァン!ズガァァァ!!!
そして、横浜蹴球倶楽部はあえなく敗走。

その結果、名古屋赤鯱軍の日ノ本蹴球組合一部の残留が確定した。
「やりました和尚様ぁぁ!!」
「ふぉっふぉっふぉ、他力の極みじゃな」

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一方そのころ柏の戦場では・・・。
煌々と照る月光の下、太陽族の軍勢はまるで天照の使者。
名古屋赤鯱軍の武者たちは斬られ、倒され、吹き飛ばされ――死屍累々。
その時、赤鯱軍の残留確定を知らせる他力本願寺からの鐘の音が響く。
ゴォォォォォン・・・。
赤鯱軍の武者が呟く。
「お、おかしい・・・負けているのに・・・なぜか・・・残留は確定している・・・」
別の武者が答えた。
「噂によれば・・・他力本願寺が・・・鹿を・・・」
「鹿・・・?」
「鹿じゃ・・・!」
全員「鹿の世話にだけはなりたくなかった!!」

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鹿たちは役目を終え、元の穏やかな姿へ戻っていった。
小鯱はそっと鹿の頭を撫でた。
「かわいい、けれど強くて怖かったですね」
「うむ。小鯱よ、戦とは元より清きものではない。人も獣も、皆、何かを犠牲にして勝敗を得る。これは、その一端にすぎぬ」

こうして名古屋赤鯱軍は、他力本願寺の暗躍により命脈をつないだ。
後の史書にはこう刻まれる。
『赤鯱軍、裏に流れし影の力にて命脈を保つ。されど戦場にては敗れ伏し、天運は時に戦の理(ことわり)を越えて揺らぐものなり』

鹿の国で何が起こったのか、その真相を知る者は少ない。
ただ、森の奥で静かに草を食む鹿たちだけが、あの夜の秘密を静かに胸に秘めていた。

《つづく》
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J1残留を決めたとは言え、首脳陣の交代やらなんやら、まだまだドラマは終わりそうにありません。




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2025.11.01

『赤鯱燃ゆ』-スピンオフ-『他力本願寺、出陣す!』

名古屋赤鯱軍が吹田健脚隊に敗れた前節。
赤鯱軍の残留は確定しませんでしたが、横浜蹴球倶楽部が柏太陽族に敗れ状況はにわかに好転。
その裏では他力本願寺の一味が暗躍していたのです・・・。
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大河ドラマ『赤鯱燃ゆ』
-スピンオフ-『他力本願寺、出陣す!』
※画像はAIによる生成です。

名古屋赤鯱軍は吹田健脚隊に敗れ、自力での残留を果たせず民衆は悲嘆にくれた。
そこから少しばかり時を戻し、合戦が前半を終え小休止を迎えていたころ。

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尾張の山の奥深く――霧に包まれた「他力本願寺」に、巫女の小鯱(おしゃち)が懐中魔法板を片手に鈴をジャラジャラ鳴らしながら駆け込んで来た。
「和尚さまー!和尚さまぁぁ!!」
「なんじゃ騒がしい!わしは今、108回目のスクワットの最中じゃ!」
寺の境内でトレーニングに励んでいるのは筋肉ムキムキの住職・鯱力院(しゃちりきいん)。
「和尚さま、赤鯱軍、劣勢です!健脚隊の猛攻を受け守りは厳しく、攻めては木村殿が奮闘するも城門を破れません!もはや、自力では...」
鯱力院は、天を仰いで高笑いする。
「うわっはっは!わしの予想どおりじゃ!よーし!どうやら出番のようじゃ!他力本願寺の底力、見せつけてくれるわ!!」
こうして他力本願寺の一行は下総の国へと向かった。
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ここは柏太陽族と横浜蹴球俱楽部の合戦の場。
合戦は前半を終え小休止を迎えていた。

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横浜蹴球倶楽部の陣地に、どこからともなく名古屋名物「味噌煮込みうどん」の匂いが漂い、兵たちは異様な空腹感に襲われる。
「な、なんじゃこの甘美なとろけるような匂いは・・・」
「うう、腹が減って力が出ない・・・」
それは、強い中毒性のある名古屋めしを使って無意識下に食への誘惑を植え付け、合戦への緊張感を「どうでもいい食い物の話」へとすり替える恐ろしい法力なのだ。


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一方、柏太陽族の兵たちが後半へ向けて合戦場にて準備運動をしていると、鯱力院と小鯱が満面の笑みで現れた。
鯱力院は柏の兵たちに語りかける。
「柏太陽族の皆の衆。天下統一を目指す貴殿らの実力は我らが知るところ。それゆえ貴殿らが今、この合戦に自力を尽くすことは、すなわち他力を巡らせることとなる。自力と他力とは常に背中合わせ。貴殿らの行いが、巡り巡って他者を救い、さらに大きな力となって貴殿らの未来を照らすのだ!すなわち他力本願とは、人に頼ることにあらず」
続いて小鯱が鈴をジャラジャラ鳴らし力強く告げた。
「その証として、この一戦、見事に勝利された暁には、必ずや貴殿らに大いなる福が巡り、手羽先と台湾ラーメンとなって返ってくるであろう!」
柏の兵たちは、なぜ名古屋めしなのか釈然としないまま、二人の熱意と説法にある種の確信を得た。
「俺たちの力が、巡り巡って誰かの幸せになるなら、戦う甲斐がある!」
「そして、その幸せが名古屋めしになって返ってくる!よし、やるぞ!」

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後半戦開始の法螺貝が鳴る。
横浜蹴球俱楽部の兵たちは、空腹と煩悩の闇に囚われ、足がもつれる。
柏太陽族の兵たちは、「他者を幸せにする自力」という新たな使命を胸に猛攻を仕掛けた。
その結果、柏太陽族が横浜蹴球俱楽部を討ち破る。
それを見た鯱力院は、天に向かって高らかに笑った。
「うわっはっは!見事じゃ!貴殿らの自力は、他者を救う他力なり!」

こうして柏太陽族は勝利を収め、名古屋赤鯱軍はまた一歩残留に近づいた。
柏太陽族の兵たちは手羽先と台湾ラーメンで腹を満たしながら、「自力は他力を生み、その福は必ず巡る」という他力本願の深き教えを噛みしめるのだった。


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「和尚さま、これって、単なる嫌がらせでは…」
小鯱が小声で突っ込む。
「違う!これはあくまでも法力じゃ!!」
満足そうな鯱力院の手には、柏土産の「ホワイト餃子」が握られていた。

【終】
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このように、他力本願寺の暗躍によって名古屋赤鯱軍はまた一歩、残留に近付いたのでした。
信じるか信じないかはあなた次第・・・。



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