J1百年構想リーグWEST第18節 広島-名古屋
■J1百年構想リーグWEST
5/23 エディオンピースウイング広島
広島 4-2 名古屋
実録シリーズ
仁義なき百年抗争~西日本死闘編~
エピソード18(最終回)「帰還」
ナレーション:令和8年。赤鯱組は広島紫熊会の軍門に下り、西日本の覇権を賭けた戦いは神戸会がその頂点に立った。今、戦いを終え、一人の男が静かに去ろうとしていた。それはここ広島が、彼にとって本来の”居場所”だったからである。
~深夜のピースウイング広島。空には雲が妖しく渦を巻き、時おり稲妻が光っている~
シャチ公:「組長さん、最後までてっぺんを争って、みごとな戦いぶりだったがね」
ミシャ組長:「おう、ちいっとタマを取られ過ぎたわい。広島の本家が相手じゃけんいうて、少し前のめりになり過ぎたかの」
シャチ公:「ううん、どんなに追い込まれようと相手に背中は見せにゃあ。それでこそ組長さんのカチコミだがね」
ミシャ組長:「のうシャチ公、ここはワシのおった広島とはだいぶ違うの。なにもかもがツルツルじゃ」
シャチ公:「50年だで、そりゃ変わっとらっせるわ。1976年の、血と汗と硝煙の匂いがする組長さんの”あの世界“に比べたら、2026年の日本は、まるで味気ないプラスチックみたいだわね」
ミシャ組長:「カチコミもそうじゃ。なにかっちゅうと綺麗な理屈でまとめようとしよる」
シャチ公:「だで、組長さんを呼んだんだわ。ゼクノヴァが作ったマルチバースの隙間をこじ開けてよ。昭和の銀幕を焼き尽くした、あの理屈じゃにゃあ熱狂を、この令和の世界に叩き込んで欲しかったんだて」
ミシャ組長:「ハッ。最初に来た時は、ワケの分からん事を言うてワシを担ぎ上げおってからに・・・とブチのめすつもりじゃったが。まあ、悪うはなかった」
シャチ公:「組長さんさすがだわ。みんな一瞬であんたの虜になったがね。広島弁までマネしてまって。今日の若い衆(選手)の顔を見やあした?」
ミシャ組長:「ああ。技術や才能はあっても、今ひとつ壁をブチ破れんかったあいつらが、『ワシが獲るんじゃ!』言うて、ギラついた目になりおった。ありゃあ、ワシらの世界の野性そのものよ」
シャチ公:「組長さんが50年前から持ってきたその魂が、これからの50年をきっと変える。まだ小さな炎かも知れんけど、次の世代にその火を繋ぐ。そうして2076年に辿り着いた時、日本は、世界中のどんな国よりも熱いカチコミをやっとるはずだわ」
ミシャ組長:「100年抗争・・・か。平和な未来じゃの。日本中に組織(クラブ)があって、血を流す代わりに汗を流し、最後には握手してシマ(地元)へ帰っていく。ワシの時代から見たら、腰を抜かすほどめでたい光景じゃが。これほど美しい鉄火場もねえな」
(上空、激しく勢いを増す雲の渦巻きと、スタジアムを割るような稲妻)
シャチ公:「もう時間が来たみたいだで。時空の扉が、組長さんを1976年・・・昭和51年の広島に・・・”あの世界“に引き戻そうとしとるわ」
ミシャ組長:「のう、シャチ公。このあとの50年、もしここの連中が、いつまでも涼しいツラして正論ばかり探しとるようだったら・・・」
シャチ公:「わかっとるて。その時は、また組長さんみたいな最高にカッコいいたわけを、どこかの世界から呼び寄せるでよ」
ミシャ組長:「あばよ、シャチ公、いや、ハイカラな名前が別にあったの・・・」
(ミシャ組長の身体にノイズが走り、薄く透け始める。そこへ、一人の若者が息を切らして駆け寄って来る)
若頭イナ:「ま、待ってつかあさい!オヤジ、まだ関東とのカチコミ(プレーオフ)が残っとりますけん、まだ帰らんでつかあさい!」
ミシャ組長:「カバチたれとんな。イナ、こんなはこれからの50年の若頭じゃ。ワシ抜きでどこまで張れるかやってみい。ワシは自分の世界に戻って、また泥の中を這いずり回らないかん。ワシらが道を拓かにゃあ、熱い魂が消えてなくなるけんの」
若頭イナ:「オ、オヤジ・・・」
ミシャ組長:「それとな、ワシの本当の名前はミシャじゃねえ。このあとこんならの面倒を見る異国のおっさんの名前よ」
若頭イナ:「え・・・??」
ミシャ組長:「ほいじゃあの。帰って冷やいビール飲むのが楽しみじゃ」
若頭イナ:「オ、オヤジィィィィィ!」
シャチ公:「さよなら、組長さん・・・」
(鋭い閃光とともに、映画のフィルムが焼き切れるように姿を消すミシャ組長。芝生の上には年季の入った金バッジが一つ落ちている)
ナレーション:昭和51年。日本は、本能のままに躍動する男たちを描いた『実録路線映画』の全盛期を迎えていた。我々の現実世界から見ればフィクションの”あの世界“から呼び寄せられた一人の男。彼はこの時代に、この世界に何を残したのか。それはこの先の50年で答えが出るのかも知れない。
百年抗争~西日本死闘編~ 完
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ということで、半年に渡ってお送りした『百年抗争~西日本死闘編~』は今回で終了です。
ご愛読ありがとうございました!
最終節まで首位を争ったのに終わって見れば3位。
失点しないことの重要性、ひいては攻撃的サッカーにおける守備のあり方について改めて考えさせられます。
とはいえ、グランパスに根付きつつあるミシャサッカーはブレて欲しくないです。
そして山岸選手、WESTリーグ得点王おめでとうございます!
新婚パワー凄いです。

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